ウィメンズカウンセリング京都は、1995年9月に開設されましたが、ちょうど時を同じくして、第4回世界女性会議が北京で開かれていました。北京会議では、女性のエンパワーメントをキーワードに、各国政府が取り組むべき課題として「女性に対する暴力」など12の重点課題が提起されました。
ウィメンズカウンセリング京都もまた、「女性による女性のためのカウンセリング」という明確な考え方に立ち、なによりも女性に役立つカウンセリングを目指すことを第一目標にしました。この点が、今までの伝統的カウンセリングとは異なる特徴です。
私たちのカウンセリングはフェミニストカウンセリングと呼ばれています。フェミニストカウンセリングでは、女性の悩みや困難の原因は、その女性個人の生まれつきの問題や生育歴だけにあるのではなく、むしろ私たちが暮らす社会の側に問題があると考えています。たとえば、みなさんも職場や学校や家庭にまだある女性差別や、ジェンダーに縛られて「自分らしく」生きられない窮屈さを経験していらっしゃいませんか?
そのため、フェミニストカウンセリングは自分自身を変える自己変革と同時に社会変革を、その目標としています。そして、今よりもっと自由に、自己尊重的に、自己主張的に生きられるように、女性たちをエンパワーしたいと願っています。カウンセリング・アプローチとしては、主として認知行動療法やナラティブ・アプローチを基本としていますが、もちろん伝統的カウンセリングの理論や技法も用いています。
フェミニストカウンセリングの理念は、personal is political(個人的な問題は政治的な問題)ですが、ウィメンズカウンセリング京都の「あなたの問題は私たち女性みんなの問題です」というメッセージにも、その思いが込められています。
フェミニストカウンセリング実践を後押しするかのように、1997年に改正男女雇用機会均等法(セクハラ規定を含む)、1999年に「男女共同参画社会基本法」、2000年にストーカー規制法、2001年に配偶者暴力(DV)防止法(2004、2007年改正)が施行されました。2004年には児童虐待防止法も改正され「DVの目撃は児童虐待である」とされました。ウィメンズカウンセリング京都でも、DV家庭で育った子どもたちへのカウンセリングにも積極的に取り組みはじめました。こうした国内外の社会・政治的動向を受けて、フェミニストカウンセリングの存在意義はますます大きくなったと自負しています。
私たちフェミニストカウンセラーは、特定非営利活動法人日本フェミニストカウンセリング学会に所属しています。日本フェミニストカウンセリング学会は、1993年に結成され、毎年5月に全国大会を開催し、その他にも現任者訓練として数多くの講座を開講しています。
2002年には、日本フェミニストカウンセリング学会認定のフェミニストカウンセラーが誕生しました。フェミニストカウンセラー資格制度の制定は、フェミニストカウンセリング理論・技術の更なる確立、フェミニストカウンセラーの質の管理や向上、フェミニストカウンセラー養成などをその目的としています。また、2011年には、新たにフェミニストカウンセリング・アドヴォケイター資格制度が制定され、ウィメンズカウンセリング京都にもフェミニストカウンセリング・アドヴォケイター認定資格者が誕生しました。プロとしてのDV・性暴力被害者への代弁・擁護活動、裁判支援を構築し実践していきたいと考えています。
現在、フェミニストカウンセラーは、地方自治体の女性センターの相談員として、大学や行政などのセクハラ相談員として活躍し、ウィメンズカウンセリング京都のような開業のカウンセリング・ルームは全国に約30か所あります。ウィメンズカウンセリング京都のスタッフも、ウィメンズカウンセリング京都以外のさまざまな女性相談の現場で、フェミニストカウンセリングを実践しています。
また、ウィメンズカウンセリング京都は、社会的課題に取り組む企業、「ソーシャルビジネス」としての性格を明確にし、持続的に事業展開することを希望し、2006年に株式会社として法人化しました。社会的課題の解決に取り組むことを事業活動のミッションとし、ビジネスの形態をとることによって継続的に事業を促進し、社会変革を目指します。
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